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肝臓の働きと病気

印刷ページの表示 ページ番号:0000278294 更新日:2016年6月13日更新

肝臓の働き

 肝臓は体の中で一番大きな臓器です。肝臓は体に必要な栄養素を作って保存したり、体に有害な物質を分解、解毒する機能があります。肝臓が病気になると、これらの機能が低下することから、体に重大な影響を及ぼします。

 肝臓の細胞は再生能力が高く、病気にかかってもすぐには症状が出にくいことから、「沈黙の臓器」とも呼ばれます。そのため、自覚症状が出たときには病状が進んでいることがあります。

主な肝臓の病気

肝炎

 ウイルスの感染やアルコール、薬剤等が原因で、肝臓が炎症を起こした状態です。国内では、ほとんどがウイルス性肝炎であり、特にB型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスが問題となっています。

 一般的に急性肝炎と慢性肝炎に分けられ、特徴は下記のとおりです。

 

状態

症状

急性肝炎

急速に肝臓の細胞が壊されます。

全身倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸等の症状が見られます。

慢性肝炎

肝臓の細胞に何十年も住みついて、徐々に肝硬変や肝がんのリスクが高まります。

ほとんどの場合は症状がありません。

 

肝硬変

 主にウイルス性肝炎が進行することで発症し、徐々に肝臓が線維化して硬くなってしまいます。この状態になると、肝臓の機能が著しく低下し、黄疸、肝性脳症(錯乱状態に陥ったり、意識が混濁する状態)が出現したり、食道静脈瘤(食道周囲の静脈に瘤ができて、破裂すると大出血を起こす)、腹水(お腹に水が貯まり、呼吸困難を起こすこともある)、浮腫などの症状が出ます。肝硬変そのものを治療する方法はありません。

肝がん

 主に肝硬変から進行します。肝臓の細胞が癌化した状態で、90%はB型・C型肝炎ウイルスが原因で生じます。肝がんの治療は、手術や抗がん剤等による治療が実施されます。これらの治療により肝がんが治っても、癌化した細胞が血流にのって他の臓器に流れていき、そこでがんを再発することが多いと言われています。

B型肝炎とは

 B型肝炎は、B型肝炎ウイルスの感染によって引き起こされる病気です。B型肝炎ウイルスは、血液や体液を介して感染しますが、感染した時期等により、一過性の感染で治ってしまうものと、生涯にわたり感染が持続するもの(キャリア)に分けられます。

 成人がB型肝炎ウイルスに感染した時に一過性に発症するB型急性肝炎は、ウイルスに感染してから、1~6か月の潜伏期を経て、全身倦怠感、食欲不振、黄疸などの症状が出ます。治療により、90%の方は治癒しますが、一部の方は劇症肝炎(肝炎発症後、約8週間の間に急激に肝臓の細胞が破壊され、肝臓の機能が著しく低下、致死率が高い病気)を発症し、死亡することがあります。

 さらに、近年は、性風俗産業が感染源の中心と見られる慢性化しやすいタイプのウイルスによるB型肝炎の患者が増加しており、その慢性化率は20~30%との報告もあり、性感染症としてのB型肝炎も問題となっています。

 一方、母子感染や乳幼児期の感染による持続感染者に起きるB型慢性肝炎は、自覚症状がほとんどありませんが、徐々に肝臓の細胞が障害され、一般的に10~30歳代で肝炎を発症します。その後、一旦症状は良くなり、肝臓の機能が安定したままの人が80~90%ですが、10~20%の人は慢性肝炎へとなり、その後肝硬変や肝がんを発症します。

C型肝炎とは

 C型肝炎は、C型肝炎ウイルスの感染によって引き起こされる病気です。C型肝炎は血液を介して感染します。

 C型肝炎ウイルスは、2~14週間の潜伏期を経て急性肝炎を起こすことがありますが、比較的まれです。多くの場合は、何も症状がない不顕性感染ですが、60~80%が慢性化すると言われており、30~40%が肝硬変に移行し、その後、肝がんを発症します。

B型肝炎やC型肝炎に感染する危険性が高い例

 自分が肝炎ウイルスに感染しているかどうか知らない方は、一度検査を受けることが望まれますが、特に、下記のいずれかに該当のある方は、肝炎ウイルスに感染している可能性が高いと考えられますので、肝炎ウイルス検査を受けることをご検討ください。

□   過去に健康診断等で肝機能検査(Ast、ALTなど)の異常を指摘されたことがある。

□   家族にB型、C型肝炎ウイルスに感染している方がいる。

□   新たに性的な関係を持つパートナーができた。

□   ピアスや入れ墨をしている。(ピアスをあけたり、入れ墨を彫る際に、十分に消毒していない器具等を使用した場合)

□   他人のカミソリや歯ブラシを使用した。

□   幼少期(昭和63年以前)の集団予防接種等の際に注射器(注射針や注射筒)の使い回しをされたことがある。

□   平成6年(1994年)以前にフィブリノゲン製剤(フィブリン糊としての使用を含む。)を投与されたことがある。

□   平成4年(1992年)以前に輸血を受けたことがある。

□   大きな手術を受けたことがある。

□   長期に血液透析を受けている。

□   臓器移植を受けた。

□   薬物乱用者(麻薬・覚醒剤使用時の注射器の使い回し)

 肝炎ウイルス検査について