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国指定重要文化財「大分県府内大友氏遺跡出土品」の令和5年度保存修理について

印刷用ページを表示する掲載日:2024年3月8日更新

 大分県立埋蔵文化財センターが所蔵する国指定重要文化財大分県府内大友氏遺跡出土品

の保存修理を行いましたので、内容をお知らせします。

 

概要

  大分県府内大友氏遺跡出土品1,269点は、キリシタン信仰や国際貿易を振興した大友氏治

世下の都市遺跡の内容をよく示すとともに、わが国における中世都市の実態を具体的に示す

ものとして、令和元年7月23日に国の重要文化財に指定されました。

 出土品の中には、経年劣化が進行し破損する危険性が生じるものもあり、令和3年度より

国の補助を得て保存修理を行っています。

 令和5年度は分銅などをはじめとした金属製品15点の保存修理を行いました。その成果の

一部を紹介します。

 

保存修理を実施した金属製品

太鼓形分銅7点・繭形分銅6点・小柄1点・権(けん)1点の計15点

 

太鼓形分銅(重文No.748)  径2.0cm、厚さ0.8cm

  「分銅」とは天秤秤(てんびんばかり)でモノの重さを量るときに、重さの標準として用い

る重りです。青銅製で丸い形をしているものを「太鼓形分銅」と呼んでいます。大友氏遺跡

からは分銅が多数出土しており、中世に貨幣の代わりに流通していた「銀」の重さを測った

ものといわれています。大友氏遺跡出土の太鼓形分銅には表面に大友家の家紋のひとつであ

る「三」(算木文)が鋳出されているのが大きな特徴です。

 今回の修理に伴うクリーニングによって文様が鮮明になり、表面の特定の部位に小さな円

形の凹みがあることがわかりました。この凹みが認められない太鼓形分銅もあるようですが、

凹みが存在するものが圧倒的に多いと思われます。分銅の鋳造や製作に関わる痕跡である可

能性が考えられますが、今のところ詳細は不明です。

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権(重文No.785)  高さ5.3cm、幅3.4cm 

  「権(けん)」とは竿秤(さおばかり)を使うときに使用される重りで、大友氏遺跡の出

土品は青銅製です。今回の修理によって、表面に付着している土などを除去して、これ以上

サビが進まないようにする処置を行いました。特に鈕(ちゅう)〔ヒモを付けてぶら下げる

部位〕の内部に土がこびりついていましたが、これらを完全に除去することができました。

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 令和5年度は修理を開始して3年目となります。出土品を永く後世に伝えてゆくために、

今後も修理を継続していく予定です。