令和3年度国指定重要文化財大分県府内大友氏遺跡出土品の保存修理について
大分県立埋蔵文化財センターが所蔵する国指定重要文化財大分県府内大友氏遺跡出土品の保存修理を行いましたので、内容をお知らせします。
概 要
大分県府内大友氏遺跡出土品1,269点は、キリシタン信仰や国際貿易を振興した大友氏治世下の都市遺跡の内容をよく示すとともに、わが国における中世都市の実態を具体的に示すものとして、令和元年7月23日に国の重要文化財に指定されました。
出土品の中には、経年劣化が進行し破損する危険性が生じるものもあり、本年度より国の補助を得て保存修理に着手することになりました。
令和3年度はメダイをはじめとした金属製品22点の保存修理を行いました。その成果の一部を紹介します。
(1)メダイに孔(あな)が・・・・?
府内大友氏遺跡を代表する出土品である「ヴェロニカ」のメダイ。
X線を透過すると、小さな孔があることがわかりました。これは「鋳巣(ちゅうす)」とよばれるもの
で、鋳造物の内部に空洞が発生し、その空洞が表層にあらわれる代表的な鋳造欠陥のひとつです。
メダイの鋳造技術が決して高いものではなく、丁寧につくられているわけではないということが判明し
ました。
(2)「銅」ではなくて、「真鍮」製
用途不明の金属製品。直方体の形状をしており、その中心に貫通孔があります。
青錆が生じていることから、青銅製と考えていましたが、今回の蛍光X線分析で成分の中に銅と亜鉛が
検出されたことから、真鍮(銅と亜鉛の合金)製であることが判明しました。
(3)キレイになりました
青銅製の杓子。液体をすくう時に使うもので、口径約4cmの小さな道具です。内外面に砂粒が多く付着
していましたが、今回のクリーニングできれいになりました。