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国指定重要文化財「大分県府内大友遺跡出土品」の令和6年度保存修理について

印刷用ページを表示する掲載日:2025年2月26日更新

 大分県立埋蔵文化財センターが所蔵する国指定重要文化財大分県府内大友氏遺跡出土品の保存修理を行いましたので、内容をお知らせします。

概要

 大分県府内大友氏遺跡出土品1,269点は、キリシタン信仰や国際貿易を振興した大友氏治世下の都市遺跡の内容をよく示すとともに、わが国における中世都市の実態を具体的に示すものとして、令和元年7月23日に国の重要文化財に指定されました。

 出土品の中には、経年劣化が進行し破損する危険性が生じるものもあり、令和3年度より国の補助を得て保存修理を行っています。

 令和6年度は分銅などをはじめとした金属製品15点の保存修理を行いました。

保存修理を実施した金属製品

 太鼓型分銅7点・鎺(はばき)1点・小柄(こづか)2点・笄(こうがい)1点・鞐(こはぜ)3点・火縄銃が描かれた小柄1点の計15点

 

太鼓型分銅(重文No.731) 径 1センチ9ミリ、厚さ 8ミリ

 「分銅」とは天秤秤(てんびんばかり)でモノの重さを量るときに、重さの標準として用いる重りです。青銅製で丸い形をしているものを、「太鼓型分銅」と呼んでいます。大友氏遺跡からは分銅が多数出土しており、中世に貨幣の代わりに流通していた「銀」の重さを測ったものといわれています。大友氏遺跡出土の太鼓型分銅には、表面に大友家の家紋のひとつである「三」(算木文)が鋳出されているのが大きな特徴です。

分銅

 昨年度の修理で、表の文様の特定の部位に小さな円形の凹みがあることがわかりました。今年度修理を行った7点にも、この凹みがすべての資料に認められます。これについては分銅の鋳造や製作に関わる痕跡である可能性が考えられますが、今のところ詳細は不明です。

 

火縄銃が描かれた小柄(重文No.842) 長さ 9センチ7ミリ、幅 1センチ4ミリ、厚さ 4ミリ

 小柄とは鞘(さや)の内側の溝に装着する小刀で、日本刀に付属する部品のひとつです。柄の部位に装飾を持つものがあり、この資料には戦国時代を象徴する最新式の武器である「火縄銃」の文様が描かれています。火縄銃が表現された日本の器物としては、かなり古い段階の資料となります。表面が金色に輝いており、今回改めて行った分析によると、素材の金属の主成分は銅が62.74%、亜鉛が21.32%であり、銅と亜鉛の合金である黄銅(おうどう)、すなわち真鍮(しんちゅう)製であることが再確認されました。

 近年、この資料の基部に銹(さび)が目立ってきたことから、これらの銹をできるだけ除去し、樹脂を塗布するなど、これ以上銹化が進まないような処理を行いました。

火縄銃

 令和6年度は修理を開始して4年目となります。出土品を永く後世に伝えていくために、今後も修理を継続していく予定です。