弥生人はブタを飼育していた?
印刷用ページを表示する掲載日:2022年1月28日更新
大分県立埋蔵文化財センターの豊の国考古館では、大分県内で発掘して出土した遺物が多く展示されています。その見どころを紹介したいと思います。他にも、多くの優品が展示されていますので、是非お越しください。
●ブタの頭蓋骨が展示されています。
大分市の下郡桑苗遺跡(弥生時代)の弥生人は食料を得るためにブタを飼っていました。弥生人が飼っていたイノシシに、人間の食料を何代にもわたって与え続けたことで、イノシシがブタ化していったようです。ブタは野生のイノシシに比べ、頭前部が平らになっていることや、また歯に歯槽膿漏の痕跡があるなど違いがあります。特に歯槽膿漏は人間が普段食べているもの(コメ・ドングリなど)で起こることから、人間の食料をブタが食べていた(=飼育していた)証しといえます。
下郡桑苗遺跡での発見以降、全国各地で出土したイノシシの頭蓋骨の再検討が行われ、ブタの可能性が高い事例が増加しています。弥生人に飼われたイノシシがブタに変わっていった可能性があり、いつでもおいしいブタ肉を食べたいという弥生人の貪欲な一面をみることができます。
展示室で、あまり注目されない動物の骨を一度ご覧になってはどうでしょうか?
ブタの頭蓋骨(下郡桑苗遺跡出土)