ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

1-2 特別支援学校

印刷用ページを表示する掲載日:2017年12月1日更新

2 特別支援学校

(1)現状と課題

ア 障がいの状態に応じた安全・安心な施設設備の充実

(ア) 視覚障がい者・聴覚障がい者である幼児児童生徒に対する教育を行う特別支援学校
 平成元年当時は、両校とも80名近い子どもが在籍していましたが、近年、県立盲学校は30名程度、県立聾学校は40名から50名程度の在籍者数で推移しています。
 県立盲学校、県立聾学校は、それぞれ、県内で唯一視覚障がい者・聴覚障がい者に対する教育を行う特別支援学校であり、視覚障がい者・聴覚障がい者に対する教育のセンター的機能を担う機関として貴重な存在です。
 その一方で、県立盲学校では平成16年度以降改修は行われておらず、県立聾学校でも近年は、普通教室棟以外の改修は行われていません。そのため、盲導鈴や聴覚障がい者の情報保障のための視覚支援用モニター等、最新の設備はなく、センター的機能を果たすには、施設・設備の老朽化と不備が目立ちます。

(イ) 肢体不自由者・病弱者である幼児児童生徒に対する教育を行う特別支援学校
 別府支援学校本校は、平成20年3月に策定した「大分県特別支援教育推進計画」に基づいて、家庭から通学できる病弱児も教育の対象に加え、平成22年度より受け入れを開始しました。

 このことにより、肢体不自由児、病弱児ともに増加してきており、肢体不自由教育専門の学校機能に加えて、近年増加している精神疾患のある児童生徒の様態に応じたきめ細かな指導や支援を求められる学校となっています。
 そのため、医療の立場から、多様な専門的助言や援助に関する対策も必要となりました。
 昭和50年代はそれぞれ140名程度であった鶴見校、石垣原校の在籍者数は徐々に減少し、別府支援学校本校と鶴見校・石垣原校では、在籍者数の差が著しくなっています。
 鶴見校、石垣原校ともに総学級数の減少に伴い、常時使用することがない普通教室が増え、子ども同士の関わりが少なく、学習活動の活性化という課題が顕在化してきました。
 さらに、鶴見校で約割、石垣原校で約7割の児童生徒が、複数の障がいを併せ有しており、重複障がい学級に在籍していますが、室内空調管理のできる施設設備やオストメイト対応トイレなど、障がいの状況に応じた設備が整わず、校舎の老朽化も進み、改善の必要性が多方面から指摘されています。

イ 知的障がい者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校の教室不足解消

(ア) 別府市内
 別府市内には、知的障がい者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校(以下、「知的障がい特別支援学校」という。)として、南石垣支援学校が設置されています。
 南石垣支援学校では、高等部設置以降、在籍者数が徐々に増加しており、平成29年度は小学部29名、中学部35名、高等部61名の計125名が在籍しています。
 現在の在籍者数、学級数は、大分市内の新生支援学校、大分支援学校に次ぐ県内3番目となっています。
 しかし、運動場の敷地面積、体育館の床面積ともに知的障がい特別支援学校の中で最も狭く、高等部生徒の保健体育科の授業や、全校児童生徒による運動会の実施の際は、身体接触などによる事故の回避という安全面が優先となり、十分な活動が保障できていない現状があります。

 これまで制限されてきた保健体育科で扱う種目に広がりをもたせて運動能力の調和的な向上を図ることや一般就労をするために必要な要件の一つである体力の向上を意図した教育活動を展開すること、また、卒業後の余暇活動にもつながる活動の提供のための施設設備の充実などが課題です。

(イ) 大分市内
 大分市内には、知的障がい特別支援学校として、新生支援学校、大分支援学校の2校が設置されており、この2校の在籍者数は、県内でも突出して多くなっています。
 一人あたりの校舎面積が最大の臼杵支援学校と比較し、新生支援学校は27.6%、大分支援学校は26.7%であり、両校とも教室不足の状況が続いており、普通教室を間仕切って複数の学級を置いたり、教材保管室や更衣室などを整えて学習場所として使用したりと応急措置として対応している状況です。
 また、新生支援学校は、重複障がいのある児童生徒数も多くなっています。
そのため、車いす等を利用する肢体不自由のある児童生徒も多く、車いす同士が衝突不安のないゆとりある学習スペースを確保する必要があります。
 児童生徒が安全で、ゆとりがあり、多様な障がいの状態に応じた教育活動が展開できる環境の確保が課題です。

ウ 新たな教育環境(高等特別支援学校)の整備

 特別支援学校高等部では、知的障がいの程度が比較的軽い生徒や障がいが重複している生徒など障がいの状況も様々であり、卒業後の社会参加や職業自立に向けた多様な教育的ニーズへの対応が求められています。
 知的障がい特別支援学校高等部には、中学校(特別支援学級、通常の学級)から入学する生徒数が増えています。
 また、中学校からの入学者は比較的、知的障がいの程度が軽度であり、半数以上は高等部卒業後に一般就労をしています。
 九州では熊本県や福岡県が高等部卒業後の一般就労をする者の割合が非常に高くなっています。この2県では、軽度の知的障がいのある生徒を対象として、専門的な職業教育等を行う高等特別支援学校を設置しており、希望する企業や事業所への就労につなげる職業教育が行われています。
 本県においても、今後、一般就労を希望する生徒の増加が予想される中、一人一人の職業能力向上を図り、希望に応じた進路達成をめざすため、高等特別支援学校の新設に向けた具体的検討が必要です。

エ その他(給食施設の整備)

 特別支援学校の給食では、アレルギーや食事制限への対応に加え、子どもたちの実態に応じて、食べやすく刻んだり、とろみをつけたりするなどの細かい配慮を要します。
 現在、県立特別支援学校16校のうち、9校が給食調理場を有し、「自校式給食」を実施していますが、実施されていない特別支援学校の保護者からは、「自校式給食」を望む意見が多く寄せられています。「自校式給食」は、温かい給食を食べることができる、個々の摂食方法に応じた対応が容易にできるなどのメリットがありますが、調理室などの施設整備の増設が必要となります。
 特別支援学校において安全・安心な食事環境を提供できる給食施設の在り方について検討することが必要と考えます。

(2) 今後の計画

ア 盲学校・聾学校・別府支援学校本校・鶴見校・石垣原校

◆課題1 盲学校・聾学校・別府支援学校本校・鶴見校・石垣原校における障がい種ごとの教育の充実を見据えた適切な再編整備
 本県の特別支援学校の教育の一層の充実に留意し、医療療育機関併設校ならではの利点を活かすことや、それぞれの障がい種ごとの専門性の継承を考慮した各学校の再編整備を行います。


 ○盲学校と聾学校を同一敷地内に設置し、障がいの特性から別運営とし、それぞれ最新の設備を備えた学校を設置
 ○別府支援学校本校を廃止し、鶴見校と石垣原校は、鶴見校を肢体不自由児対象の特別支援学校、石垣原校を病弱 児対象の特別支援学校のそれぞれ本校として設置

イ 知的障がい特別支援学校

◆課題2 知的障がい特別支援学校における運動場、体育館の狭さや教室不足解消のための再編整備
 南石垣支援学校は「通学の利便性」「交流及び共同学習に取り組みやすい環境」などの利点を活かすこと、大分市内の2校(新生支援学校、大分支援学校)については、安全で適切な環境を確保することを最優先にした方策を講じます。


 ○南石垣支援学校は、校舎建て替え等により十分な広さのある運動場、体育館を備えた学校へ整備
 ○児童生徒数増加対策として、大分市内に知的障がい特別支援学校を新設 

ウ 新たな教育環境

◆課題3 進路希望達成につながる教育を行う新たな教育環境の整備
 知的障がいのある生徒の教育的ニーズに応じ、職業教育の充実と生徒一人一人の職業能力向上を図り、一般就労をめざす生徒の進路希望達成を図るための教育環境を整備します。


 ○一般就労をめざす生徒の職業教育充実のために、高等特別支援学校を新設

エ その他

◆課題4 安全・安心な給食を提供できる環境
 給食において、個々の摂食方法に応じた配慮のできる、安全・安心な食事環境となるよう検討を進めます。


 ○安全・安心な給食を提供できる環境整備の検討