児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~
児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~(報告)
文部科学省通知文より
不登校、いじめや暴力行為等問題行動、児童虐待等の件数は増加傾向にあり、相対的貧困率も依然として高い傾向にある状況において、心理的、経済的に困難を抱えている児童生徒が増加してきていると考えられます。
文部科学省におきましては、こうした状況を踏まえ、平成27年12月に「教育相談等に関する調査研究協力者会議」を設置し、(1)教育相談体制の今後の方向性について、(2)スクールカウンセラー(以下「SC」という。)及びスクールソーシャルワーカー(以下「SSW」という。)の役割の明確化について、(3)教育相談体制の充実のための連携の在り方について検討していただき、本年1月に別添のとおり「児童生徒の教育相談の充実について~学校の教育力を高める組織的な教育相談体制づくり~(報告)」(以下、本報告という。)を取りまとめていただいたところです。
文部科学省としては、本報告を踏まえ、SC及びSSWの配置拡充を含めた教育相談体制の充実に向けた施策を講じていくこととしておりますが、貴職におかれましても、下記により教育相談体制の充実に一層努められるようお願いします。
記
(1)未然防止、早期発見及び支援・対応等への体制構築
これまでの教育相談は、どちらかといえば事後の個別事案への対応に重点が置かれていたが、今後は不登校、いじめや暴力行為等問題行動、子供の貧困、虐待等については、事案が発生した時点から事案の改善・回復、再発防止まで一貫した支援に重点を置いた体制づくりが重要であること。
(2)学校内の関係者がチームとして取り組み、関係機関と連携した体制づくり
学校内の関係者が情報を共有し、教育相談にチームとして取り組むため、既存の校内組織を活用するなどして、早期から組織として気になる事例を洗い出し検討するための会議を定期的に実施し、解決すべき問題または課題のある事案については、必ず支援・対応策を検討するためのケース会議を実施することが必要であること。
(3)教育相談コーディネーターの配置・指名
学校において、組織的な連携・支援体制を維持するためには、学校内に、児童生徒の状況や学校外の関係機関との役割分担、SCやSSWの役割を十分に理解し、初動段階でのアセスメントや関係者への情報伝達等を行う教育相談コーディネーター役の教職員が必要であり、教育相談コーディネーターを中心とした教育相談体制を構築する必要があること。
(4)教育相談体制の点検・評価
学校において、教育相談体制が児童生徒の安心した学校生活、家庭生活の維持・改善に資するものであるかを評価するため、児童生徒及び保護者からの意見聴取等を行い、利用者も含めた教育相談体制の見直しを必要に応じて行うことが重要であること。また教育委員会は、SC及びSSWの活動方針を明確にするため、具体的なSC及びSSWの活動計画を策定、実施し、効果等を検証するなどし、定期的に評価を行う必要があること。
(5)教育委員会における支援体制の在り方
教育委員会は、学校や域内の教育支援センター等においてSC及びSSWが適切に活動でき、児童生徒の安心した学校生活及び適切な環境が構築されるような支援体制を構築する必要があること。
(6)活動方針等に関する指針の策定
「児童生徒の教育相談の充実について」において示されたSCガイドライン、SSWガイドラインを参考とし、SC及びSSWの効果的な活用のための「活動方針等に関する指針」を策定または見直しを行い、教育相談のさらなる充実を図ること。