特集1 見直される公共事業
地域の風だより

川づくり
自然環境への配慮
 河川の改修は、水害を防ぐ「治水」、上水道や農業・工業用水などに利用する「利水」を中心に川づくりが進められてきましたが、平成9年に河川法が改正され、自然環境や生態系に配慮した川づくりが行われています。
護岸に自然石が使われた
津房川(安心院町)

 安心院町を流れる津房川は、9年の台風19号による災害の復旧助成事業が行われ、護岸に自然石を使うなど自然環境に配慮した川づくりを行っています。また、国東町の田深川は、緩やかな傾斜の川岸、遊歩道などをつくり、背後にある「弥生のムラ安国寺集落遺跡公園」と一体となった整備で、人々が水辺で憩えるような工夫をしています。
住民の意見・要望の反映

 河川法の改正により、河川整備計画を、学識経験者、関係住民、関係市町村長の意見を聴いてつくることになりました。県内には、1級水系が6、2級水系が93あり、平成13年度は、1級水系では大野川と大分川、2級水系では臼杵川と武蔵川について計画づくりを進めています。特に、住民の意見などの聴取は、意見交換会の開催、県庁ホームページへの掲載、県河川課や関係土木事務所に相談窓口を設置するなどの方法で行っています。また、計画策定後も、地域ぐるみで懇談会を設置し、川への思いを語り合ったり、情報を共有したりして相互に理解を深め、話し合いの中で計画の見直しが必要と判断されれば見直しを行うなど、地域住民と連携してよりよい川づくりを目指しています。昨年11月、「大野川流域懇談会」が設置され、大野川水系の川づくりについて話し合っています。
(問)河川課 TEL097ー536ー1111 内線4597
 
港湾の整備

護岸に自然石が使われた津房川(安心院町)
 重要港湾の開発や利用などについては、港湾計画をつくり整備を進めています。中津港は、中津日田道路により東九州自動車道と結ばれ、平成16年末操業予定のダイハツ車体(株)を核に県北地域の物流拠点として整備されています。また、別府港では、観光業者、まちづくり団体などが参加し、海や港の資源を生かした観光・交流・レクリエーションの場を整備することを目指しています。13年度から、別府港の北浜・餅ヶ浜・上人ヶ浜の地区で、周辺の観光ホテルから直接海岸へ行けるような整備を行うとともに、遊歩道や緑地がつくられます。
(問)港湾課  TEL097ー536ー1111 内線4615
 
これからの公共事業
 これからの行政には情報公開と説明責任がますます求められます。
 県では、「おおいた新世紀創造計画」において、公共事業をはじめ、主要事業の内容・指標を県民の皆さんにお知らせするとともに、主体的な参加や積極的な協力をお願いしています。
 また、事業の効率的な執行及び透明性の向上を図るため、「大分県事業評価監視委員会」を設置して再評価を行い結果の公表を行っているほか、用地補償については、一定の金額以上の案件について「大分県補償検討委員会」の意見を聴くなど公正な執行に努めています。
 入札契約制度においても、業者の格付結果の公表や予定価格の事前公表、さらに工事の発注見通しや指名業者選定理由などを公表しています。
 今後とも、積極的に情報の公表に努めるとともに、発注者責任を果たしながら社会資本の整備を進めていきます。

※公共事業全体の情報を知りたいときは、大分県情報センター(TEL097―534―4494)または県庁ホームページ(http://www.pref.oita.jp/)をご利用ください。


 
地域の風だより

直川村 自然にとけ込める「とんねる村」

 村内仁田原(にたはら)のトンネルを抜けると、ゆっくりと時間が流れる村「とんねる村」が現れます。「世界中でどこにもない所をつくりたい」と地元の建設業、製材業、農業などを営む16人のボランティアが、4ヶ月をかけて自然を生かした体験ができる場所をつくりました。入村は無料。やすらぎの山小屋(1時間300円)、休憩用テント(1時間300円)、泥田バレーの施設(無料)、2ヵ所の五右衛門風呂(無料)、水田・畑(それぞれ100m2年間1万円)やカボス園(5本3,000円)の貸し農園などがあり、自分で木や竹を切って、木工品・竹細工づくりを体験できます。分からないときは村の人がアドバイスをしてくれます。
 ボランティアの代表の飛田秀記さんは「ここへ来て自分でしたいことを見つけてほしい。自然と対話できる人になってほしい」と言います。
  TEL:0972−58−3358


佐賀関町 隠れた逸品「神崎の瀬ダコ」

 「神崎(こうざき)の瀬ダコ」は、昨年10月から毎週日曜日に開かれている神崎漁協の朝市で、50パックが30分足らずで売り切れるほどの人気商品。町内のイベントで、地ダコの足にタレを付け焼いて売ったところ好評だったことから、漁協の女性グループの有志7人が商品化に取り組みました。しょうゆ味とピリ辛とうがらし味があり、真空パックにして100g入り400円で販売しています。「この辺りでとれる地ダコは、荒波にもまれて身がしまっているから、そこらのタコとはちょっと違う。直送と朝市に来る人に限って売っていきたい」と神崎漁協理事の佐藤徳生さんは自信たっぷりです。
 「神崎の瀬ダコ」に続けと、小ぶりのアジをすり身にした加工品(300g入り250円)もよく売れています。
 神崎漁業協同組合  TEL097−576−0007


大山町 流域の連携で森を救う

 「筑後川上流倶楽部」(会員40人)は、平成3年の台風による風倒木被害、林業従事者の高齢化、国産材の価格の低迷などで森林の荒廃を目のあたりにし、森林を蘇らせようと11年に結成されました。日田市、日田郡の4町村、玖珠郡の2町、熊本県の小国町、南小国町に呼び掛け、上・下流域で連携して水源林としてのあり方を見直そうという取り組みです。荒廃林の調査、林業従事者などへのアンケートを実施したり、下流域・福岡での木材の利用を呼び掛けたり、福岡と地元の住民が生物・水質調査を行い交流する体験ツアーを行っています。また、昨年は、「森の大学」を設立し、約200haの町有林で調査・研究を重ね水源林の機能を取り戻す方策を探っています。
 代表の川津 潔さんは「地域が定住の場として生き残れるように、行政の枠を超えて連携を強めていきたい」と熱く語ります。