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新しい御代に当たり
大分県知事 広瀬勝貞
令和元年。燃えたつような新緑の中で新しい御代を迎えました。皆さんそれぞれにあの平成を懐かしく憶い、始まったばかりの令和に様々な期待を描いておられることと存じます。私もお陰様で引き続き県政を担当させていただくことになり、来たるべき時代に思いを巡らせているところです。
先ずは少子高齢化、人口減少に何とか歯止めをかけたいですね。若者が結婚や子育てにもっと前向き、積極的な思いを持っていただけるように環境を整えなければなりません。国ではこれにより合計特殊出生率を現在の1.4から令和10年を過ぎる頃には1.8くらいに上げて、先ずは人口減少を緩和して、増やして、ゆくゆくは1億人くらいで落ち着かせようとしています。大分県では、合計特殊出生率の引き上げに加え、若者はじめ皆さんが大分県に定住し、さらに移住してきてくれるよう魅力的な仕事を創ったり、暮らしやすい環境を整えたりしているところです。
人口減少に何とか歯止めをかけられそうだというだけで相当元気が出ると思われますから、国民がもう少し豊かさを感じられる国になり、環境保護や文化振興の面でさらに尊敬される国になるといいですね。
新しい時代、次に考えておかなければならないのは、科学技術の進歩がさらに加速され、世の中のありようまで変えていくことです。
ドローンによるへき地の家庭への宅配サービスは近々実用化されるでしょうし、安全安心な完全自動運転車の実用化ももうすぐでしょう。人工知能とロボットが随分日常生活を助けてくれることになるでしょうし、産業分野では、人手不足対策、生産性向上対策になくてはならない存在になるでしょう。医療や福祉の分野も同様です。情報通信の発達は人々をネットワークに組み込んでさらに世界に開放してくれるでしょう。
光があれば影もある、科学技術にも恩恵の裏に様々な課題があります。個人情報をいかに保護するか、サイバーテロは大丈夫か、さらに激烈な宇宙戦争にどう対処するかなど大きな課題にも取り組まなければなりません。
もう一つの期待はグローバル化です。モノ、ヒト、カネの交流が益々盛んになってきます。特に人口減少、国内消費減対策として農林水産物の輸出が大変活発になってきました。ヒトの交流も観光交流だけでなく、技能実習、特定技能など人手不足対策として、外国人雇用が増えていくと思われます。国、地域間の未来の架け橋として留学生の交流も増やしたいですね。
令和には、人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つという思いが込められているそうです。昨年、大分県で国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭が開催されましたが、その時には、演ずる人、見物する人、本当に多くの県民が参加し、盛り上げてくれました。そして、その中から新しい文化の芽吹きも感じられます。
新しい御代も県民が思い思いに、また、時には連携して様々な課題に取り組み、その中で新たなものを生み出し、時代を拓いていけたらいいなと思っています。
~県政だより新時代おおいたvol.124 2019年5月発行~