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OITA4.0~
大分県の産業革命
大分県知事 広瀬勝貞
蒸気機関による産業革命を第1次とすると、今は情報通信技術にリードされた第4次産業革命の時代だと言われています。技術の発達には光と影がある、とはよく言われることですが、今回も例外ではありません。大量の情報蓄積、活用には、大量の秘密漏洩のリスクが伴います。情報通信システムを導入して大量の従業員を解雇した会社もあります。安倍内閣が景気回復の決め手として推進していますが、かえってデフレを促進することになると反対する経済学者がいることも事実です。
しかし、科学技術の進歩と世の中の変革は、誰もが挑戦したくなるものです。それによって今の仕事が効率化されたり、新しい仕事が創られたりしていくもので、やはり大いに推進すべきものだと思います。
例えば、次世代農業といいますか、土壌検査、成長管理、防疫等をビッグデータを使って判断し、ロボットを使って実行する農場が県内でもいくつかあります。また、例えば、IoT、あらゆるものをインターネットで繋いで、生産、流通、販売、それにメンテナンスまで一貫してやろうという技術があります。生産、流通は、効率的になるし、しっかりメンテナンスができて顧客にも満足されるわけで、こちらが様子を見ている間に、ライバルにやられたら大変です。Uberという白タクの提供者、利用者のマッチングシステムがありますが、これもアメリカでは大人気です。日本ではタクシーが圧倒的ですが、こちらの方も客に便利な呼び出し機能を急いで整備していると聞きます。教育や医療福祉の職場にも動きが速まっています。
こういう現実を目の当たりにすると、県としてもこの第4次産業革命に積極的に取り組むべき時ではないかと思い、「OITA4.0」を打ち出したところです。
行政として、先ずは「IoT推進ラボ」を設置して、後押ししたいと思っています。これからOITA4.0を進めていくには、先ず具体的なニーズを掘り起こし、ビジネスに仕上げていくことが大事です。地方は生活の場として、人々が日々暮らしをたてています。中小企業の活躍の場として地道にビジネスをこなしています。そういう生活やビジネスの現場にあるニーズを探し出して、これまた活力もやる気も十分な中小企業に繋いでいく場をつくります。その中で、先導的な実例を創って、それがまた新しいニーズ、シーズを生むことを期待しています。
第二は人材の育成です。今の時代、情報、知識は、ネットでいつでも検索できます。大事なことは、これを使って考えることです。新しい価値を創ることです。技術に翻弄されないで、技術を使える人間が大事です。国の方でも、これからの教育においては知識だけでなく、思考力・判断力・表現力等を重視する学び方に変えると言っています。大分県も国の示す新しい学習指導要領に沿って、第4次産業革命の時代に相応しい教育を推進します。
OITA4.0、これからです。課題や対応等について、いろいろご提案もいただきたいと思います。
県政だより新時代おおいたvol.111 2017年3月発行