特集1 「なんで市町村合併かえ?」その2

21世紀に伝えたい「大分の風景」
地域の風だより

男の幸せ・女の幸せ
 幸せは人それぞれですが、誰かに押しつけられず、自分のしたいことができるのが一番ですね。もし、女だから、男だから、という理由だけで、したいことができなかったり、特定の役割が片寄っているとしたら、みんなが不幸せと感じるでしょう。
 女性も男性も自分の意思で社会に参画し、支え合い、喜びも責任も分かち合う、そんな社会づくりが、みんなの幸せにつながります。
 平成11年から県が主催してきた「男女共生フェスタ」のワークショップに参加している東本高志さん(大分市)と加納三代さん(臼杵市)に、男女共同参画を目指した活動を始めたきっかけや、その中で気付いたことなどについてうかがいました。
 
活動のきっかけは
東本 大分に住んで24年になりますが、生まれ育ったのは筑豊の石炭積出港として賑わった港町です。川筋気質といって、いわゆる男気の強い町だったのですが、一方で女たちも相当に強かった。ある意味、男と女が五分と五分で暮らしていた町でした。そういう下町の流儀が身に付いていて、結婚後、例えば妻のパンツを洗うことに違和感はなかった。男は一般に自己実現の場として将来の「仕事」を構想して育っていくし、育てられてもいくものですが、女も自己実現の場を求めようとするのは当然だ、という思いもありました。僕たち夫婦は共働きの道を選びました。
 直接のきっかけは、PTAの「おやじの会」に参加したことです。その場では「いざというときがおやじの出番だ」式の意見が圧倒的で、「日常生活の中での関わりが大切」という僕の意見は「変わったご意見の方もいらっしゃいますが…」と一蹴されました。
 そういうことがあって、北九州市の女性センターの「男のライフセミナー」に参加するようになり、大分でも「おとこの生活塾」を結成しました。
加納 子どもの頃から「女の子なんだから」と言われて育ちました。「女の子なんだから親元に居なさい」という親の言葉をふりきって東京女子大に進学したので、女性学に興味を持ちました。臼杵に帰ってきて、大学で学んだことを生かしたいと思ったことが今の活動につながっています。
 
現在はどんな活動をしていますか

加納三代(かのう・みよ )
人権啓発グループ「ぷぷら」代表
東本高志(ひがしもと・たかし)
おとこの生活塾・大分代表世話人
加納 男女共同参画を自分の問題として捉え、行動していける力を養うためにワークショップ(参加体験型学習)は有効な手段のようです。そこで、自治体や企業で行う啓発研修に積極的に取り入れて活動を進めています。また、6月からは、臼杵市と私たち人権啓発グループ「ぷぷら」との共催で、8回シリーズの男女共生セミナーを始めました。
東本 男には男の悩みがあるはずです。職場と家庭の両立、妻との関係、子育ての悩み…普通の家庭のおやじが抱えている問題を率直に語り合うことのできる「男の井戸端会議」的なものを目指して、毎月1回例会を開いています。
 
活動の中で気付いたことは
加納 予想はしていましたが、「女は十分強くなった」「もう平等」という意見をよく耳にします。能力と環境に恵まれた女性にとっては男女は平等かもしれませんが、実際に差別に苦しんでいる人の声は届きにくいことへ考えを発展させていくことが必要です。
 仲間づくりも進めたいのですが、私が20代であるせいか、特に、30代の男性に理解してもらうことがなかなか難しいです
東本 そうかもしれませんね。が、男性の30代は、子育てなど、女性の大変さも分かってくる年代でもあるので、理解を示す男性も結構居ると思うんだけど。
加納 女の人を低く見ないと、自分の位置が確認できない男性が居るのも問題だと感じますね。家事や育児を分担していても、言われなければやりたくないという人がまだまだ多いんじゃないでしょうか。
 年齢相応の自尊感情が備わっていれば、女の人を低く見ることはないと思います。
東本 自分を尊重する自尊感情は、当然、他者を尊重するということにもなりますよね。
 以前、80代の男性から「軍隊時代は自炊は当たり前だった」という話を聞きました。「自立」が男女共生のキーワードだとすると、むしろ、伴りょが病に倒れたりした70・80代の方々などは、人生経験から男女共同参画の心根(こころね=心情)を理解しているのではないでしょうか。そういう言葉としてではなくとも。
 
男女共同参画社会を実現するうえで、何が一番必要だと感じていますか
加納 「新しい時代のことはわからない」と避けるのではなくて、まずは、自分の身近な人と真剣に向き合って、話し合ってみることから始めることが必要ではないでしょうか。変わっていくのは怖いことじゃなくて、普通のことですよね。
東本 「男はいざというときに体を張ればいいんだ」という男の人が多いけれど、「いざというときはいつ?」と聞きたいものですね。子どもが毎日悩んでるときに知らん顔していて、いざというとき子どもは父親の言うことを聞くのだろうか?「体を張るんだったら日常のレベルで」という話し合いの繰り返しが大切だと思っています。
 
これからどうしていきたいですか
東本 「男女共同参画っていうのは女の問題だ」と考えている人が多いのですが、そうではなくて「男女の問題」だという認識を広めていくことが大切だと思います。
 僕は今、PTAの会長をしています。PTAという地域の誰もが参加できる日常的な場は、男女共同参画の問題を考えていく格好の場の一つです。最近、地域の方々を含む約70名が集まって、こうした問題について討論しました。もっともっと広げていきたいと思っています。
加納 研修活動などを通して、似た考えを持つ仲間を増やしていきたいですね。社会は急に変わらないので、無理せず、楽しみながら、地道に啓発活動を続けていきたいと思っています。
 特に、若い仲間を募集しています。
 
最後に、「男の幸せ・女の幸せ」はどういうことだとお考えですか
東本 男も女も一緒だと思いますね。心を許しあえる友人と巡り会うこと… その友人の最たるものが配偶者ということになるのではないでしょうか。
加納 豊の国づくり塾で、20代の仲間と一緒に学んでいますが、何か行動しようとするとき、立ち上げることが本当に難しいと痛感しています。失敗することの方が多くても、できたときの達成感こそが、他の人から与えられたものではない、人としての幸せではないでしょうか。
 一番苦労した人が、一番いろんな経験ができて、いろんな形の幸せを実感できると思っています。
 
第4回男女共生フェスタ
 性別にとらわれず、男性も女性も生き生きと暮らせる男女共同参画社会を目指して、皆さんも一緒に考えてみませんか。
日 時: 平成14年10月6日(日) 12:30〜16:00
場 所: オアシスひろば21
内 容: 講演及びワークショップの公開
入場料: 入場無料
参加申込み: 9月30日(月)まで、青少年・男女共同参画課あてにお申し込みください。
   
●ワークショップ
 参加8グループが「男女共同参画」について、報告、討議、寸劇など様々な方法で参加者と共に考えます。
 bジェンダーを考える b男のための非暴力ワークショップ
 b「女性模擬議会」の実践から bわたし発「男女共同参画社会」
 b男女共同参画社会のネットワークについて b新しい時代の主役
 b若者から見た男女共生の理屈と実際 b共に男の責任、女の責任



21世紀に伝えたい「大分の風景」

写真/竹内 康訓

 

地域の風だより

上津江村 かみつえ酒呑童子 太鼓倶楽部

 財団法人「あしたの日本を創る協会」などによる「ふるさとづくり賞」の県内審査で、集団の部1位となった、小、中学生14人で組織するかみつえ酒呑童子太鼓倶楽部。毎週の練習の成果は、年間20回以上の県内外や韓国、台湾での演奏活動で披露しています。
 上津江村のチビッコ宣伝隊として、ますますの活躍が期待されています。

(問) 指導者・井上裕子さん
 0973−55−2476


挾間町 竹酢液と炭のオブジェ 竹炭工芸かぐやひめ

 挾間町谷の竹炭工芸かぐやひめには、高い煙突と金属製の大きな釜が2機備えられ、工藤誠一さんが制作した竹炭や、まつぼっくりなどを炭化させたオブジェを展示、販売しています。
 また、竹炭を作る際に出る蒸気を冷却してできる竹酢液も販売しています。
 盆栽などの記念の品を炭化して、オブジェにすることもできるそうです。

(問) 竹炭工芸かぐやひめ
 097−583−3858


臼杵市 臼杵と南蛮文化の融合 「ポルト蔵」

 交流賑わいの施設「サーラ・デ・臼杵」に隣接して、古い蔵を利用した喫茶店が6月にオープンしました。
 ポルト蔵ランチは、郷土料理の黄飯、かやく、きらすまめし、くろめのみそ汁などで、臼杵ならではの味が楽しめます。
 同時にオープンした「片町市場」では、臼杵、津久見、佐賀関の農水産物加工品など地域の特産品が販売されています。

(問) ポルト蔵 営業時間11時〜18時
 0972−63−6511


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